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出産したい!でも相手がいない。妊娠の可能性を維持するために今、できること

2018/09/27

産科婦人科学会専門医の丸田佳奈先生に話を伺う連載企画。妊活を始めるべき年齢、不妊治療に要する時間や金額を取り上げた第一弾に続き、今回は妊娠の可能性をできる限り維持するために知っておきたい知識をご紹介。 

いずれ妊娠&出産はしたいけれど、今じゃない。キャリアや財産、パートナーの有無、など、女性が妊娠を先延ばしにする理由は様々。“出産したいなら早いほうがいい”とはわかっていても、手放しに選択できないからこそ悩んでしまうもの。日常生活で不妊症のリスクを回避しつつ、妊娠できる体をキープするためにはどうすれば良いのか?

体調の変化としっかり向き合うことが必要不可欠!

「第一弾でも軽く触れた通り、男女ともに加齢により妊娠しにくくなることは明らか。それ以外の女性側の因子では、無排卵や子宮内膜症、骨盤腹膜炎の既往などでも妊娠しにくくなることがわかっています。しかし、検査をしても明らかな不妊の原因がないけれど妊娠しにくいというケースが意外と多いのも事実です。こういった原因不明の不妊を含め、不妊症を確実に防ぐことは不可能です。ですから、せめて自分の体の健康状態を保ち、新たなリスクを防ぐことは大切になります。」

「健康的な生活と身体を維持し、婦人科疾患や感染症を防ぐことが大前提。まず気をつけたいのが、月経です。月経異常としてあげられるのが無月経や月経不順です。極端な肥満やダイエットが原因で起こる場合はある程度防げる可能性があります。また、ひどい生理痛や出血量の増加は子宮内膜症や子宮筋腫などの婦人科の病気が隠れている可能性があります。“生理がちょっとおかしいかも”と感じたら放置せず、病院で診てもらうことを推奨します。」


「性病の中には、症状が出ないため自分では気づきにくいものもあります。クラミジアは症状が出ないことが多く、気づかないうちに長年にわたって感染していることがあります。卵管炎や骨盤腹膜炎になり、卵管が詰まり、不妊の原因になります。性感染症予防のためには、低容量ピルを飲んでいても必ずコンドームをつけるようにしましょう」

ピルを服用すると、卵子を保存できるって本当?

避妊薬としてだけでなく、生理不順やPMSの改善としても活躍するピル(低容量ピル)。排卵を止めるという作用から、体内の卵子の数を減らさずにキープできるという噂もあるが……?

「そもそも女性は産まれた時に約200万個の卵胞(一個一個の卵子を包む袋のようなもの)を持って生まれてきます。出生後は加齢とともに減る一方で、増える事はなく、思春期には20~30万個に減少します。初経が始まるとその中から排卵をしていくわけですが、例えば13歳で月経が始まり50歳まで続いたとしても、その間で排卵するのは450個程度。生涯で全部を排卵しきるから閉経になるのかというと、そう単純ではありません。卵子節約という考えのためだけにピルを服用するのは、現実的ではないと思われます」

卵子凍結はどれくらいリアリティがあるもの?

不妊症を取り上げるメディアが増えるのと同時に、聞く機会が増えた“卵子凍結”という言葉。健康的な卵子を凍結できる機会があるならば、しておきたい!と思う人も少なくないはず。金銭面でのハードルをクリアできるならば、“いいことづくし”のようにも思えるが?

「メディアの間違った報道によってまるで卵子凍結がすばらしい対策と認識されていますが、それは誤った認識であると思います。
卵子凍結に対して、日本産婦人科学会は、若年性の悪性腫瘍の場合など、抗がん剤使用や放射線療法などの治療によって将来生殖機能が損なわれることを懸念しての救済措置として、医学的適応による卵子凍結については肯定的な見解を示しましたが、社会的適応の卵子凍結については推奨しない、としています。また、日本生殖医学会は、未受精卵子および卵巣組織の凍結・保存に関するガイドラインを定めつつも、母児の合併症やさまざまなリスクを考慮すると、妊娠・分娩には適切な年齢が存在するのであり、未受精卵子あるいは卵巣組織の凍結・保存とそれによる妊娠・分娩時期の先送りを推奨するものではない、としています。
理由の一つとして、凍結した卵子で出産し生児を得られる確率はかなり低く、“卵子凍結すればいい”と安心できるほど確立されたものではないということです」

PROFILE:丸田佳奈

日本産科婦人科学会専門医。学生時代にダイエットが原因で生理不順に。治療のため産婦人科に通院した経験から、産婦人科医を志す。情報番組からバラエティ番組、雑誌など、様々な媒体で活躍中。著書に『間違いだらけの産活』(学研パブリッシング)、『キレイの秘訣は女性ホルモン-女医・丸田佳奈が答える47の悩み相談』(小学館)などが。

Illustration:Youmi Chen Photo : Yuki Kato Editor:Ayano Nakanishi

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