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FILM

ソフィア・コッポラの映画が、女性たちにここまで支持され続けるワケ

2018/02/22

第4回目となるラストは、ソフィアの真骨頂でもある映画の魅力をフィーチャー。過去のアーカイブを参考に、ロマンティックな映像や繊細な心理描写、劇中音楽の魅力など、クオリティの核を握る三大要素を深掘りしていきます。もちろん極上スリラーとして話題の最新作『The Beguild/ビガイルド 欲望のめざめ』の見どころも紹介! しっかりと予習&復習をして、2/23の劇場公開に備えましょう。

独特の色彩と光によって紡がれる、甘くて儚い映像美

『マリー・アントワネット』のマカロンのような淡い色彩美に、誰もが心を鷲掴みにされた。 ©︎2005 I Want Candy LLC.

ソフィアの描く世界観に、女性達がどっぷりとハマる理由。それは衣装や舞台セットといった、ビジュアル面の魅力なくしては語れない。処女作『ヴァージン・スーサイズ』が公開されたとき、まず世間を騒つかせたのは姉妹のレトロガーリーなファッションや家のインテリアだったし、それは“カワイイブーム”を巻き起こした『マリー・アントワネット』のときも同じだった。レースにギンガムチェック、パステルトーンなど、少女趣味をくすぐるポップでノスタルジーな世界が、霞がかった光の中に溶け込み、夢の1シーンのような幻想的な映像をつくりあげていく……。郷愁を感じさせながらも、センスはとっても現代的! 絶妙なバランスで紡がれる映像は、若くからアートとファッション界を行き来してきた、彼女だからこそ成せる技なのかも。

少女の心の機微を捉えた、センシュアルな心理描写

異国で感じる少女の孤独を、儚いロマンスと共に描いた『ロスト・イン・トランスレーション』。  ©︎2003, Focus Features all rights reserved

ソフトフォーカスで捉えた淡い光に、ポップでガーリーな衣装など、ソフィア作品に共通する魅力はたくさんある。けれどその世界観を根底で支えているのは、子供と大人の狭間で揺れ動く少女達の“光と影”を映し出した、女性ならではの繊細な心理描写。『ロスト・イン・トランスレーション』の主人公シャーロットも、『サムウェア』の一人娘クレオも、『マリー・アントワネット』のヒロインも、まぶしいほどの輝きを放ちながらも、みんな孤独と憂鬱を抱えていて……。思春期に誰もが感じたことのある、あの切なくてほろ苦い感覚。その虚無感がハイセンスな映像とのコントラストで、実に美しく描かれている。心の深淵にそっと触れるような描写は、ソフィアからの哲学的なメッセージのようにも感じられ、だからこそ観た後にじんわり余韻が残る。

キラキラしているけど骨太! ハイセンスな楽曲のセレクト

ソフィアが紡ぐロマンティックな世界観を、5割増しで魅力的なものにしているのが、劇中で流れてる音楽! ’70~80’sの古いロックやポップスから、最旬のエレクトロまで。時代もジャンルもバラバラな楽曲を、あたかも繋がりを持っていたかのように、1つのストーリーの中に調和させる。その鮮やかな手法は、女性達だけでなくコアな音楽ファンまでも虜に。また、レッドクロスの元ドラマー、ブライアン・レイツェルをプロデューサーに迎え、Airの楽曲をいち早く取り入れたり、活動休止状態だったマイ・ブラッディ・ヴァレンタインのリーダーに曲を書き下ろしてもらい、世間をあっと驚かせたり……。夫のフェニックスのトーマス・マーズもたびたび楽曲を提供、映画『サムウェア』で音楽も担当するなど、妻のクリエイションを影で支えている。

【映画の世界にトリップできる! 傑作サウンドトラック3選】

フォークあり、エレクトロあり。映画の詩的でメランコリックな世界に浸れる1枚。
The Virgin Suicides/Air
¥1,050 (iTunes価格)

マイブラやフェニックス、はっぴいえんどほか、音楽通も納得の純度の高いセレクト。
Lost In Translation(Original Motion Picture Soundtrack)/Various Artists
¥1,600(iTunes価格)

映画の時代背景とは相反する、80年代のニューウェーブやポップスを中心に収録。
Marie Antoinette(Original Soundtrack)/Various Artists
¥1,900 (iTunes価格)

最新作で描くのは、これまでの作風とは一転した“女たちの愛憎劇”

スリリングなストーリー展開ながら、衣装や舞台セットにはソフィアらしさが健在!  ©2017 Focus Features LLC. All Rights Reserved.

そして監督デビュー20周年を迎える今年、待望の長編作『The Beguild/ビガイルド 欲望のめざめ』が全国公開! 本作は、これまでのガーリーでメランコリックな世界観とは一味異なる、女たちの心の暗部に迫った極上のスリラー作品に。南北戦争に揺れるアメリカを舞台に、森をさまよう1人の負傷兵が、敵地の女子寄宿学園に転がり込むところからストーリーは始まり、やがて男を巡って、女たちが愛や憎しみ、嫉妬を露呈させていく様子が、手に汗を握る心理戦とともに描かれている。負傷兵を演じたコリン・ファレルや、学園長役のニコール・キッドマンなど、名優たちを脇で支えるのは、ソフィア作品でおなじみのキルスティン・ダンストとエル・ファニング! フリルをあしらった甘いドレスに、美しい自然の描写など、長年のファンのツボをしっかり押さえながらも、ストーリーではいい意味で裏切られる。ソフィアが仕掛ける新たな試みを、ぜひ劇場で確かめてみて。

『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』
公開日:2018年2月23日(金)よりTOHOシネマズ 六本木ヒルズほか全国公開
監督:ソフィア・コッポラ
出演:ニコール・キッドマン、キルスティン・ダンスト、エル・ファニング、コリン・ファレル
上映時間:93分
提供:東北新社
配給:アスミック・エース STAR CHANNEL MOVIES
PG-12

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Writer : Yuri Tanaka
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