LIFE STYLE

『頂きたく存じます』の意味や使い方。例文や言い換えもチェック

2020/03/25

『頂きたく存じます』は、目上の人や取引先などに対し、自分をへりくだって相手を立てる際によく使われる敬語表現です。会話や文書など、幅広い場面で使用できます。

例文を紹介しながら、意味・使い方・言い換えなどを解説します。

『頂きたく存じます』は正しい日本語?

『頂きたく存じます』は丁寧な表現を求められる場面でよく使われますが、堅苦しすぎる印象も受けがちなことから、正しい日本語なのかどうか疑問に思うこともあります。

そこで言葉の意味や構成、敬語表現としてふさわしいかどうかなどを解説します。

お願いしたいときの敬語表現

『頂きたく存じます』は、何かをお願いしたいときに「〇〇してほしいと思う」という意味で使用する敬語表現です。

『頂きたく』と『存じます』という二つの言葉を組み合わせた言い回しであり、それぞれ独立した敬語としても使用されます。

『頂きたく』の部分は『〇〇してもらいたい』の謙譲語、『存じます』の部分は『思う』の謙譲語と丁寧語の『ます』で構成されています。

『頂きたく存じます』は二重敬語?

二重敬語とは、一つの言葉に対し同じ種類の敬語が重複して使用された言葉です。『頂きたく存じます』は二つの言葉で成り立っているため、二重敬語ではありません

よくある二重敬語の例としては以下のようなものが挙げられます。

  • ご覧になられる
  • お帰りになられる

それぞれ、尊敬表現『ご(お)〇〇になる』と、尊敬の助動詞『れる』が重複しています。正しい表現は次の通りです。

  • ご覧になる、見られる
  • お帰りになる、帰られる

また、よく使われがちな二重敬語ですが、社長・会長・部長などの役職名は、言葉そのものが敬語の一つとみなされます。社長様・会長様・部長様という言い回しは二重敬語であり、使用を控えるべき表現です。

一方で、『お伺いする』『ご案内申し上げる』『お召し上がりになる』のように、二重敬語でありながら広く普及し、社会的に容認されている表現もあります。

『思います』をより丁寧に

『頂きたく存じます』の『存じます』は、『思います』をより丁寧な言い回しに変化させた敬語表現です。

以下に挙げる例文のように、単独でも使用されます。

  • 先日ご案内差し上げた通り、今週末に慰労会を開催したいと存じます。
  • お手数をお掛けしますが、お手すきの際にご一読頂ければ幸いに存じます。
  • ご多忙とは存じますが、ご検討のほどよろしくお願い申し上げます。

また、ビジネスメールなどで冒頭の挨拶に使用される言葉にもよく使われます。

  • 貴社ますますご清栄のことと存じます。
  • 貴店におかれましては、いよいよご盛栄のご様子なによりと存じます。

『頂きたく存じます』の使い方

『頂きたく存じます』は、漢字と平仮名の違いや使用すべき相手など、注意すべきポイントがあります。正しい使い方をマスターしましょう。

漢字と平仮名で意味が異なる

『いただく』を『頂く』と漢字で表現する場合は、『食べる』『飲む』『もらう』といった動詞の謙譲語として使用します。

一方、『いただく』を平仮名で表現する場合は、『〇〇してもらう』という意味の補助動詞として使用します。

  • ご多忙のところ大変恐縮ですが、一度打ち合わせのお時間を頂きたく存じます。
  • ご意見を頂きたいため、明日本社までお越しいただきたく存じます。

上記例文中の「お時間を頂く」「ご意見を頂く」の頂くは、もらうの謙譲語であるため漢字表記が正解です。

「お越しいただく」の『いただく』は、〇〇してもらうという補助動詞として使用されているため、平仮名表記で書く必要があります。

目上の立場の方やお客様に使う

『頂きたく存じます』は敬語であるため、相手との関係性を意識し、正しく使用する必要があります。

謙譲語を二つ並べた言葉であることからも分かるように、友人や同僚など対等な立場の相手ではなく、目上の人・取引先・お客様など、立場が上の相手に使うのが通例です。

友人や同僚を相手に使う場合でも、自分が敬意を払う相手であれば、違和感のない使い方だといえます。

また、かなり堅い印象を与えがちな表現であるため、相手の立場が上であっても、会話で使用されることはそれほど多くありません

しかし、スピーチの場や相手への失礼が許されないような場面で上手に使えることができれば、会話における敬語表現の幅をより広げられます。

『頂きたく存じます』の例文

相手に何かをしてほしい場面で使い勝手のよいの例文をいくつか紹介します。ケースに合わせてうまく使い分けられるようにしましょう。

ご教示頂きたく存じます

ビジネスシーンにおいては、目上の人や取引先に対し、何かを教えてもらいたいという場面が多々あります。

そのようなときに最も敬意を示せる使い方が『ご教示頂きたく存じます』という表現です。『ご教示』が尊敬語であるため、相手に最大限の敬意を払えます。

  • 現在の在庫状況についてご教示頂きたく存じます

「お教え頂きたく存じます」でも悪くはありませんが、『お教え』が丁寧語であることから、尊敬語のご教示に比べるとやや敬意が足りないといわざるを得ません。

間違いやすい表現が『教えて頂きたく存じます』という言い回しです。『教えて』という表現自体、敬意を払うべき相手に対してはとても失礼な意味合いになってしまいます。

ご一報を頂きたく存じます

相手に対し「連絡をください」ということを伝えたい場合は『ご一報を頂きたく存じます』という表現を使いましょう。

  • ○○の件に関しまして、簡単で結構ですので、メールにてご一報を頂きたく存じます。

『ご一報』とは、簡単な連絡を意味する『一報』を丁寧に表現した言葉です。メールや電話で軽い反応を知りたい場合など、ビジネスシーンでよく使用されます。

「ご一報ください」という表現も間違いではありませんが、『ください』の部分でやや命令調の印象を与えてしまう可能性があるため注意が必要です。

また、「ご連絡を頂きたく存じます」も問題なく使用できますが、特にビジネスの場においては、ご一報の方がよりスマートな印象を与えられるでしょう。

お時間を頂きたく存じます

自分と会ってもらいたいときや、会議に参加してもらいたいときなど、相手に時間を作ってほしいときに使える言い回しが『お時間を頂きたく存じます』という表現です。

  • ご多用中のところ誠に恐縮ですが、万障お繰り合わせのうえ、お時間を頂きたく存じます。

実際に相手が忙しいかどうかにかかわらず、上記のように「ご多忙のところ恐れ入りますが」や「ご多用かと存じますが」のようなフレーズとセットでよく使用されます。

「来てください」と直接言いにくい相手にも使いやすいため、特にビジネスメールにおいてよく使用される表現です。

『頂きたく存じます』の誤った使い方

『頂きたく存じます』はさまざまな場面で便利に利用できる表現ですが、乱用すると誤った使い方になってしまう可能性があります。

特に『〇〇させて頂きたく存じます』は、誤用が多くなりやすいため注意しましょう。

返信させて頂きたく存じます

『〇〇させて頂きたく存じます』という言い回しは、相手に対し「〇〇させてほしい」と許可を得る表現です。

「返信させて頂きたく存じます」という表現は、返信することにわざわざ許可が必要であるケースがほとんどないと考えられるため、くどい印象を与える可能性があります。

したがって、相手に対し何かを返信したい場合は、シンプルに「返信いたします」とするのが正解です。

『〇〇させて頂きたく存じます』を使用できるかどうか迷った場合は、「〇〇させていただいてもよろしいでしょうか?」に置き換えてみましょう

「そんなことをわざわざ聞かなくても…」と相手に思わせるような内容であれば、使用すべきではないと判断できます。

お休みさせて頂きたく存じます

体調不良や急な用事などで会社を休みたいと考えたときに、上司などに「お休みさせて頂きたく存じます」と表現したくなることもあるでしょう。

しかし、「させて頂きたく存じます」としてしまうと、「休みます」と言い切る形になってしまい、相手に与える印象は当然悪くなっていまいます。

この場合は、「休ませてもらいたい」と許可を得る気持ちをより強く伝えたほうがよいと考えられます。「休みを頂いてもよろしいでしょうか」とすべきです。

なお、『お休み』という言葉は、尊敬語とも謙譲語とも解釈できる曖昧な敬語です。どのような言い回しであっても、使用を控えた方がよいでしょう。

『頂きたく存じます』の言い換え

どれだけ便利な表現であっても、繰り返し使うとくどい印象を与える上、誤用を招く原因にもなります。言い換えをマスターし、表現の幅を広げましょう。

いたします

『〇〇いたします』は、きっぱりと言い切る印象を与えかねない表現ですが、『頂きたく存じます』の言い換えで使用しても失礼にあたらないケースが多々あります。

それほど重要度が高くない内容の話をする場合や、目上の人でもある程度気心の知れた相手とやり取りする場合などは、〇〇いたしますをバランスよく使用しましょう。

また、わざわざ相手に許可を得なくてもよい話題の場合も、『〇〇いたします』を使用した方がスムーズな文章になる可能性があります。

〇〇していただければ幸いです

『頂きたく存じます』は、何かをしてほしい気持ちを示す表現です。してほしいことが実現すれば自分としてはうれしい気持ちになります。

したがって、うれしい気持ちを『幸いです』という言葉で表現し、以下のように「〇〇していただければ幸いです」と言い換えることが可能です。

  • 明日中にご連絡いただければ幸いです。
  • お時間のあるときにご確認いただければ幸いです。

ただし、この表現は依頼のニュアンスや強制力がやや弱くなるため、確実に動いてもらいたい場合には使い方に注意が必要です。

のほどよろしくお願いします

『〇〇のほど』という表現を使えば、より柔らかな印象を与えることが可能です。「よろしくお願いします」も使用して、以下のように言い換えられます。

  • 返信が遅くなる場合もありますが、何卒ご理解のほどよろしくお願いします。
  • 至らぬ点もあるかと存じますが、今後とも変わらぬご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします。

この表現は、一方的な依頼の意味合いが強く、〇〇してほしいというニュアンスはほとんど含んでいないため、言い換えの際には気をつけましょう。

まとめ

『頂きたく存じます』は、何かをお願いしたい場合に、立場が上の人などに使う敬語表現です。漢字と平仮名で意味が異なるほか、誤った使い方をしがちな表現でもあります。

よく利用される例文や別の言い換えなどもしっかりと理解し、会話やメールなどさまざまな場面で上手に使えるようになりましょう。

SHARE ON

RECOMMEND ARTICLES

RELATED ARTICLES

WHAT'S NEW