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間違えたら恥ずかしい!「取り計らう」のビジネスでの正しい使い方は?言い換え方も紹介

2020/03/17

ビジネスシーンでは『物事がうまく運ぶように対応する』という意味で『取り計らう』という言葉が使われます。依頼をするときや感謝を述べるときに多用されますが、相手によっては失礼になることもある表現です。使い方と類似表現を確認しましょう。

取り計らうことの意味と敬語表現

取り計らうは、日常会話の中ではそれほど頻繁に登場しません。

しかし、ビジネスシーンや文書ではたびたび耳にする言葉です。敬語表現ですが、使う相手を選ぶ必要がある点に注意しましょう。

よく考えて適切に対応すること

取り計らうは『取る』と『計らう』の二つの言葉から成り立ちます。取りは、ほかの語について語調を整えたり語勢を強めたりする『接頭語』です。

動詞としての意味はなく、取りつくろう・取り決める・取り調べるなどほかの言葉と一緒に使われます。 動詞の計らうには、考えて適切な対応することや計画を立てることのほかに、相手の事情を考えて柔軟に対応する・手加減するという意味もある言葉です。

よって、両者をあわせた取り計らうは『(物事がうまく運ぶように)よく考えて適切に対応すること』を指します。

目上の人へ使うときは慎重に

目上の人に何かを指示されたとき「こちらで取り計らっておきます」と返事をすると、「よいようにやっておくので」と答えていることと同じになります。 必ずしもNGというわけではありませんが、使い方によっては高飛車な印象を与えることも心に留めておきましょう。 

自分が相手に取り計らうときは『取り計らわせていただきます』や『取り計らい致す所存です』など、自分をへりくだる表現をするのがベターです。 取り計らい致す所存ですは、なじみの薄い表現でしょう。

ここでの取り計らいは名詞にあたり『取り計らい致す』で一語です。動詞『する』の謙譲語として『致す』を使います。 『所存です』は、思うの謙譲語である『存じます』を漢語で表現すると『存ずる所』となることから、謙譲表現を含む言葉として目上の人にも使える表現です。

丁寧に言うときは『お』をつける

ビジネスシーンでは、相手の行動に対して敬語表現が使われるケースがほとんどです。

丁寧・尊敬の接頭語を付けて『お取り計らい』と表現しましょう。

▼使い方の例

・昨日の件ですが、○○さんのほうからお取り計らいくださり、ありがとうございました。 

取り計らうには、細かなことを処理する意味もあります。目上の人への感謝に使うのであれば、謙譲表現の『くださる』や『いただく』を加えましょう。 くださるは相手の意思でしてくれたこと、いただくは自分主導でしてもらったことです。

どちらを使っても問題ありませんが、相手の親切からの行為にはくださるがよいでしょう。 依頼する際は「お取り計りのほど、よろしくお願い申し上げます」と表現すれば「恐縮ですが、どうかお願いします」という意味合いになります。相手を敬う気持ちが伝わるでしょう。

ビジネスメールや送付状などでよく使われる

取り計らいは口語よりもビジネスメールや送付状でよく使われます。相手に依頼や感謝をするときに用いれば、よりかしこまった格調の高い文体になるでしょう。

依頼をするときに

時代劇では、殿様が家臣に「よきに計らえ(よいように処理しておけ)」と命令する形で用いられました。 

現代においては、目上の人や顧客、取引先に対して、特別な配慮をもって「〇〇してほしい」とお願いをするときに用いられます。

▼使い方の例

・(取引先に対し)こちらの都合を申し上げて大変恐縮ですが、お取り計りいただきますようお願い申し上げます。 

・当日のスケジュールを添付いたしました。お取り計らいのほどよろしくお願いいたします。 

ストレートに依頼するのがはばかれる場合、お取り計らいに言い換えて伝える場合もあります。

▼使い方の例

・請求書を添付いたしましたので、ご査収の上、お取り計らいのほどよろしくお願い申し上げます。 

「支払ってください」と直接的に言及することなく、依頼のニュアンスを伝えられるでしょう。

感謝を伝えるときに

こちらの依頼に対して、相手が特別な配慮や調整を持って答えてくれた場合は、心からの感謝を伝えたいものです。 

感謝の意味で使うときは、過去のできごとに対して相手がうまくいくように動いてくれたときにお取り計らいを添えます。

▼使い方の例

・〇〇の件でお取り計らいくださり、ありがとうございました。おかげさまで楽しい時間を過ごすことができました。 

・部長のお取り計らいがなければ、このプロジェクトは成功しませんでした。 

・クライアントとの折衝をお取り計らいいただき、心から感謝いたします。 

ただ単に「ありがとうございます」と謝意を述べるよりも「お取り計りいただきありがとうございます」と表現したほうが、感謝とともに手間をお詫びする気持ちが相手に伝わるでしょう。

お願いするときに使える別の言葉と例文

相手にお願いするときは、お取り計らいではなく、別の表現に言い換えることも可能です。シチュエーションによって使い分けましょう。

お力添えいただきますよう

『お力添えいただきますよう』は、依頼や要求をするときに多用されます。助けるを意味する『力添え』に、もらうの謙譲語の『いただく』を合わせた言葉です。 

相手のサポートやフォローが必要とするとき『お願い申し上げます』『お願いいたします』などの丁寧な依頼表現を伴って用いられます。

▼使い方の例

・メンバーに選ばれた皆様には、ぜひ地域活動にお力添えをいただきますようお願いいたします。 

・本年も引き続き、お力添えをいただきますようお願い申し上げます。 

もう少しやわらかめに表現したいなら『いただければ幸いです』『いただければと存じます』などもよいでしょう。 

類語表現として、ご協力・ご支援などもあります。相手からの助力に対して使うときは、謙譲表現の『お~いただく』『ご~いただく』の形で使いましょう。

ご助力のほど

『ご助力(ごじょりょく)』は、手助けを意味する『助力』に、丁寧・尊敬の接頭語『ご』を付けた丁寧な表現です。

『ご助力を仰ぐ』『ご助力のおかげ』など、さまざまな使い方ができます。

▼使い方の例

・この度、新たなプロジェクトを立ち上げました。お忙しいところ恐縮ですが、ぜひ助力のほどお願い申し上げます。 

・次の機会もよい結果が残せるよう、ご助力のほどよろしくお願い致します。 

断定を避け、表現をやわらげる婉曲表現の『ほど』を付けることで『相手に配慮しながら手助けを仰ぐ』というニュアンスになります。目上の人にも失礼な印象を与えません。

万障お繰り合わせの上は目上の人に使える?

催しをするにあたって、相手に参加をお願いする場合『万障お繰り合わせの上(ばんじょうおくりあわせのうえ)』という定型句が用いられます。 

「いろいろご予定はあるかと思いますが、なんとか都合をつけて」の意味合いです。 この言い回しには相手に参加や出席を強制するニュアンスが含まれるため、目上の人はもちろん、プライベートで親しい友人に使うのは失礼にあたる場合があります。

▼使い方の例

・(社内メールで)〇〇さんの送別会を行います。万障お繰り合わせの上、ご参加いただきますようお願いいたします。

ただし、学校行事や社内のイベントで半ば強制的に参加させるときに使うのはOKです。

▼使い方の例

・今月の○○日は、年に一度の意見交換会を実施いたします。お忙しいところ恐縮ですが、万障お繰り合わせの上、ご出席いただければと存じます。 

お礼を伝えるときに使える別の言葉と例文

お取り計らいと似たニュアンスで、相手に謝意を伝える表現を紹介します。お取り計らいよりも頻繁に使う言い回しもあるため、ひと通り覚えておくと便利です。

ご配慮いただき

『ご配慮いただき』の『配慮』には『よい結果になるように、あれこれと心を配ること』の意味があります。

 いただくは『〇〇してもらう』の謙譲表現であわせて用いることが多いでしょう。目上の人や取引先の相手などにメールで謝意を述べるときに添えると、相手から好印象です。

▼使い方の例

・こちらに不手際があったのにも関わらず、ご配慮いただき大変恐縮しております。 

・先日の上海滞在では、いろいろとご配慮いただきありがとうございます。 

同じような表現として『お気遣いいただき』もあります。お気遣いは体調不良や不都合があった際に、相手から言葉や行動で気にかけてもらったことへの感謝として使うのが適当です。 

目上の人に使うときは、さらに丁寧な表現として『ご高配を賜り』もよいでしょう。『高配』にはお心遣い・お気遣いの意味があります。謙譲表現『賜る』を付けて相手を立てましょう。

ご尽力いただき

『ご尽力いただき』の『尽力(じんりょく)』は、文字通り『力を尽くす』という意味です。 

『ご尽力いただきありがとうございます』や『ご尽力お願いします』など、お取り計らいと同様、感謝や依頼の場面で用いられます。

▼使い方の例

・プロジェクトの立ち上げにご尽力いただき、誠にありがとうございました。 

・本会議の開催にご尽力いただいた〇〇会長には、心より感謝を申し上げます。 

・準備にご尽力いただきました〇〇学校の生徒の皆様には、あらためて感謝を申し上げます。 

お力添えとの違いは、相手がかけた労力の程度です。

尽力のほうが程度が重く『自分のために一生懸命奔走してくれた』という深い感謝のニュアンスが含まれています。

類語に『便宜を図る』があるが使い方に注意

類語には『便宜を図る』がありますが、取り計らうとは意味合いが微妙に異なるため、使い方に注意が必要です。

▼使い方の例

・A社への対応の際は、便宜を図っていただきありがとうございました。 

・A社への対応の際は、お取り計らいいただきありがとうございました。 

便宜を図るには「その人にとって利益になるように手を回す」の意味があり、政治家の汚職や不正に対しても用いられます。同じ感謝の表現でも、受け取り方が変わってくるかもしれません。 

場合によってはネガティブなイメージにとられるため、言葉を選んだほうがよいでしょう。特に、目上の人や取引先など、悪い印象を与えたくない場面では避けたほうが無難です。

まとめ

取り計らうはビジネスシーンでは便利な言葉ですが、使い方によっては相手に失礼になる場合があります。 

言い換えが可能な類語も多くあるため、相手やシチュエーションを見ながら使い分けるとよいでしょう。適切なシーンで正しい敬語表現ができると、ビジネスでの信頼度もアップします。

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