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言葉の意味

実は注意が必要な「心中お察しします」の正しい使い方。例文や類語も紹介

2020/03/12

『心中お察しします』は、相手に悲しい出来事が起こったときなどによく用いられる言葉です。相手の気持ちや置かれた状況がシビアであることが多いため、意味や使い方をしっかりと理解した上で、慎重に使うべき表現であるといえます。

心中お察ししますの意味

社会人になり、幅広い年齢層の人と接する機会が増えると、心中お察ししますという言葉を聞くことも多くなるでしょう。 

間違った解釈をしないように、言葉の意味をしっかりと理解することが大切です。

気持ちを分かっているという意味

心中(しんちゅう)お察ししますは、『心中』と『お察しします』で構成された言葉です。 『しんじゅう』と読む別の意味を表す言葉もありますが、ここでは不適切であるため、しんじゅうとは読まないように気をつけましょう。 

心中は、文字通り「心の中・心の内」という意味であり、真意や本当に思っていることを表します。似た言葉としては『胸中(きょうちゅう)』『胸の内』があります。 

お察ししますは、人が思っていることを「推測する・同情する」という意味を持つ『察する』の丁寧語です。「お見受けします」などの類語があります。 

心中お察ししますは、相手の気持ちを感じ取ることや、相手が考えているであろうことへの推測を意味する表現です。

辛い・悲しい出来事の際に

基本的に、心中お察ししますは、相手にとって辛いことや悲しいことが起こった際に使うフレーズです。 

相手の気持ちを汲んで「とても辛かったですね」と気遣う気持ちが込められた言い回しであり、ただ気持ちを推測するだけでなく、相手に同情するニュアンスを強く含みます。 

また、「出来事に関する詳しいことをわざわざ口に出さなくても結構です」と、相手が話したくない気持ちに寄り添い共感することを伝える意味合いもあります。 

なお、『お察しください』は、「詳しいことは何も聞かず、私の辛い気持ちを分かってください」というような、逆の立場で使われる言葉です。この場合、心中は使用しないことがほとんどです。

心中お察ししますの使い方

具体的にどのような状況で心中お察ししますを使えばいいのか解説します。

相手を思いやったつもりが、不愉快にさせてしまう可能性もあるため、使い方には注意しましょう。

心中お察ししますを使う場面

心中お察ししますは、相手が辛くなったり悲しくなったりするような出来事が起こった場合や、相手が何かに対して悩んでいるような状況でよく使います。 

例えば、相手の家族や大切な人が亡くなった場合に、自分がそのことを知った後に初めて相手と会ったような状況です。通夜・告別式におけるお悔やみの言葉としても使われるでしょう。 

また、事故や病気など突然のトラブルに見舞われた場合や、リストラや倒産により自分の意思に関係なく職を失った場合など、相手が大変な状況に置かれていることへ理解を示す際にも使える表現です。 

悲しみ・怒り・憎しみ・嫉妬・寂しさなど、相手がマイナスの感情を抱いているような状況で多く使われます。非常にデリケートな、使用には細心の注意を払うべきフレーズです。

目上の人への使用は失礼にあたることも

目上の人に心中お察ししますを使うと「詳しい事情も知らないくせに私の気持ちが分かったようなことを言わないでほしい」といったように、相手を不快にさせてしまう可能性があります。 

自分としては心底気遣いの気持ちを示したつもりでも「部下に偉そうなことを言われた」と感じてしまう人は少なからずいるものです。 決して失礼な言葉ではないのですが、相手にどのような印象を与えるか分からない表現である以上、目上の人に対しては使用を控えたほうがよいでしょう。 

心中お察ししますを言いたくなるような状況では、相手の心理状態が穏やかでない場合がほとんどです。 どんな言葉をかければよいのか分からない場合は、無理に余計な一言を放ち相手の神経を逆撫でしてしまうくらいなら、神妙な面持ちで黙っているほうがベターです。

心中お察ししますの例文

実際にどのような使い方をすればよいのか、例文を紹介します。

『します』の部分は『いたします』『申し上げます』に言い換えられることもチェックしましょう。

お悔やみの言葉として使う場合

相手の家族に不幸があった際、お悔やみの言葉として使う場合の例文は以下のようなものが挙げられます。

▼使い方の例

・長年連れ添ってこられた奥様との突然のお別れ、さぞやお力落としのことと、心中お察しいたします。 

・御主人様に先立たれ、奥様をはじめご家族様の辛い立場はいかがなものかと心中お察しします。 

大切な人を失い悲しみに暮れている遺族に対し、さまざまな場所やタイミングで使えます。

どうしても通夜や告別式に参列できず、弔電や手紙を出す場合にも、以下のように使える言葉です。

▼使い方の例

・このたび、○○様ご逝去の悲報に接し、悲しみにたえません。残されたご家族の心中お察し申し上げます。 

病気や入院・危篤などの不幸に使う場合

相手本人や家族などが病気にかかり、入院したり危篤の状態になったりした場合にも、次の例文のような言い方ができます。

▼使い方の例

・今回の奥様のご入院、さぞ大変だったことと存じます。心中お察しします。私にできることがあれば何なりとお知らせください。 

・これからというときに突然の事故に遭われ、心中お察しいたします。今は無理をなさらぬよう、ゆっくりとご静養なさってください。 

事故や病気で負った体の不調だけでなく、災害などに見舞われ自宅や会社が被災したようなことに対しても、以下例文のように使えます。

▼使い方の例

・先日の震災で家財や家屋の一部が被害に遭われたとのこと、お辛さはいかばかりかと心中お察し申し上げます。 

トラブルに対して使う場合

日常生活では常にさまざまなトラブルが発生する可能性があり、予期せぬ事態に当事者が頭を悩ませることも多いでしょう。 

「話は聞いています。大変でしたね。元気を出してください」という同情やねぎらいの気持ちを伝えるニュアンスで、下のような例文ができます。

▼使い方の例

・まったく予期せぬ出来事で、○○様やご家族の皆様がさぞや驚かれたであろうこと、心中お察しいたします。 

・○○様のご胸中、どんなにお嘆きのことかと心中お察しいたしまして、申し上げる言葉もございません。 

・取引先が起こした不祥事の件で大変苦しまれているとお聞きしました。心中お察します。私でお役に立てることがあればお申し付けください。 

心中お察ししますの類義語や言い換え表現

以下に挙げる三つは、心中お察ししますに似た表現です。

意味の微妙な違いや使い分けについて確認しましょう。

ご心労お察しします

『心労』とは、精神的に苦労をしている様子や、悩み・心配が多い様子を表す言葉です。

「心労が溜まる」「心労が尽きない」など、単独でもよく使われます。 心中と比べ、絶え間なく続くような心配事や悩みを抱え、精神状態がより重い様子を表す言葉といえるでしょう。 

『ご心労お察しします』は、主に目上の人の心労に気遣いをする際に使用します。

以下、例文を確認しておきましょう。

▼使い方の例

・慣れない土地でのお仕事、並々ならぬご苦労の連続と、ご心労のほどお察し申し上げます。 

・総務部長という新しいお立場でのご心労もあるかとは存じますが、ますますのご活躍をお祈り申し上げます。 

拝察します

『拝察(はいさつ)』とは、何らかの情報を基に相手の考えていることを推し量ることです。 

『拝見』『拝聴』などと同じように、謙遜の気持ちを表す『拝』がつき、察することをへりくだって言う敬語です。 

心中お察ししますとほぼ同じ意味として使えるため、以下のようにそのまま置き換えられます。

▼使い方の例

・先日の火事におきましては大きな被害が発生したとのこと、皆様のお悲しみはいかばかりかと拝察します。 

・日頃よりご多用の御身であったため、ご苦労も多々おありであろうかと拝察いたします。 

なお、拝察は、単に相手の状態や考えを察するだけの意味としても、以下のように使われます。

▼使い方の例

・暑さも落ち着いた今日この頃、皆様におかれましてはご健勝のことと拝察申し上げます。 

お気持ちお察しします

心中お察ししますの心中は、ストレートに『お気持ち』とすることが可能です。まったく同じ意味であり、心中の場合と同様の使い方ができます。 心中お察ししますが目上の人には失礼にあたる場合があるのに対し、お気持ちお察ししますは目上の人にも使いやすい表現です。 

また、心中お察ししますはビジネスシーンなどかしこまった場面でよく用いられますが、お気持ちお察ししますはプライベートでよく使われるという違いもあります。 

お気持ちがややくだけた表現とも捉えられかねないため、ビジネスで使う場合は比較的身近な上司や目上の人に使うのが適しているでしょう。

心中お察ししますと言われたときの返事

心中お察ししますと言われるような状況では、黙礼で対応しても問題ないといえます。

しかし、それほど重い状況ではない場合や、文書で返す場合は、以下に挙げるようなフレーズを使って丁寧に返事をしましょう。

恐れ入ります

目上の人に対し感謝の気持ちを示す言葉『恐れ入ります』は、数ある候補の中で最も一般的な返事です。 ビジネスシーンでもよく使われる『恐縮です』と同義であり、「申し訳ない」という意味も含んでいます。 

丁寧な表現であるため、目上の人や取引先などに対して使いやすい言い回しです。以下例文のように、一言前に添えて使うのが一般的です。

▼使い方の例

・お気遣いいただき恐れ入ります。 

・ご心配をおかけし、誠に恐れ入ります。 

お心遣いありがとうございます

相手からの心遣いに感謝するという意味では、ストレートに気持ちを示す「お心遣いありがとうございます」という表現も適しています。 全体的に丁寧な言い回しである上、心遣いに『お』をつけて尊敬表現になっているため、目上の人にも問題なく使えます。 

ありがとうございますを使って返す表現としては、お心遣い以外に『お気遣い』や『ご丁寧に』などを前につけても、違和感なく使えるでしょう。 

また、お心遣いありがとうございますは、心中お察ししますの返事だけでなく、さまざまなシーンで純粋に感謝を述べられる便利なフレーズでもあります。

痛み入ります

『痛み入る(いたみいる)』という言葉は、相手からの好意や親切に感謝しつつ、自分にはもったいないと思い、胸が痛くなるほど申し訳なくなるということを意味しています。 

『痛み入ります』という丁寧な表現にすることで、「恐縮し感謝します」という意味の返事として、目上の人などに使えます。 恐れ入りますと同じような意味ですが、痛み入りますのほうがより感謝の気持ちを強く含んだ表現であるといえるでしょう。

まとめ

心中お察ししますは、相手に不幸な出来事が起こり、かける言葉もみつからないようなときに使う言葉です。

相手の気持ちを察し、気遣う思いが込められています。 さまざまな場面での使用が可能ですが、相手の状況によっては余計な一言にもなりかねません。

意味や使い方への理解とあわせて、使える場面かどうかの判断力も問われる言葉だといえるでしょう。

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