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差し支えないは目上の人に使える?丁寧な伝え方やシーン別の活用法

2020/02/28

差し支えないは、相手に譲歩しながら自分の要望を伝えるときに役立つ表現です。敬語ではありませんが、目上の人にも使えるためビジネスシーンでは頻繁に登場します。シーン別の活用法や言い換え表現を確認しましょう。

差し支えないの意味と使い方

『差し支えない(さしつかえない)』は、メールや手紙の中ではもちろん、日常的な会話の中でも多く登場する言葉です。

支障がない、都合がよい

『差し支え(さしつかえ)』は、迷惑や不都合の意味です。

接頭語の差しには『後ろに続く語を強調する』目的があります。

『差し……ない』のように、打消しの語を伴うのがほとんどです。

  • 明日の試験に差し支えないように、今日は早めに休みなさい。
  • そのくらいのこと教えてくれても差し支えはなかろう。

『支える』は進むうえで妨げになることを指します。支え(不都合)を否定する意味を強調して、都合がよい・支障がないとして使うことが多いでしょう。

  • 今、お話しても差し支えないですか?

疑問形「差し支えないですか?」は「都合は大丈夫ですか?(問題ないですか)」と尋ねるときに使う表現です。差しが付く言葉には『差し当たり』『差し障(さわ)り』などもあります。

メールでの書き方

相手の許可を得たいときや、都合や進捗状況を聞きたいときの確認に多く用いられる傾向です。 

「会議は〇月△日で問題ないでしょうか?」→「差し支えないでしょうか?」

 差し支えないは『恐れ入りますが』のようなクッション言葉の要素を含んでいるため、丁寧でやわらかい印象を与えます。 

相手の確認に対して差し支えないと返信する際は、何が差し支えないのか『指定語』を明確にするとよいでしょう。

  • 休日をはさむため次の受付日は来週の月曜日になってしまいます。―○月△日で差し支えありません。
  • 本日の注文は○○日以降の発送となりますが、よろしいでしょうか?―特に急ぎではないため、差し支えございません。

文章で書く際は、あいまいな送り仮名への認識もはっきりさせておきたいところです。 

差す+支えるで『差し支える』の形が一般的ですが、内閣告示『送り仮名の付け方』では、送り仮名を省き『差支える』と表記してもよいと定められています。

差し支えないの敬語表現

類語表現の『問題ない』『大丈夫』よりも丁寧な言い回しのため、ビジネスシーンで問題なく使えます。

ただし、目上の人に対しては、よりきちんとした敬語表現を心がけましょう。 

上司や目上の人に意見を求められたとき「差し支えないです」と答えるのはやや粗雑な印象を与えます。

目上の人には丁寧な言い方に変えて伝える

差し支えないは丁寧な表現ではあるものの、単語自体は敬語ではありません。

『差し支えありません』または『差し支えございません』などの敬語表現に言い換えましょう。

  • 演奏中は、写真撮影をしても差し支えありません。
  • 契約の内容は、重複しても差し支えございません。

類語としてよくあげられる『構いません』は『構う』=気にする・差し支えるの否定形です。 

『(やや上から目線で)許可を与えてもらっている』というニュアンスに受け取られることが多く、目上の人に使うのは好ましくありません。

  • ご都合のよい日時で構いませんので、ご一報いただければ幸いです。

一見丁寧な表現に見えますが「いつでも気にしないから平気」と、自分の都合をベースに置いた言い方です。

差し支えないにすれば「どの日時でも支障はない」と、事実を伝えらるでしょう。

問題ございませんと言い換えてもOK

差し支えを使うのがやや堅いと感じる場合は『問題ありません』に言い換えることも可能です。

  • 提案いただいた企画で問題ございません。
  • 納品が2、3日遅れますがよろしいですか?―はい、問題ありません。
  • 移動させても大丈夫ですか?―はい、問題ありません。

類似表現に『結構です』がありますが、こちらは十分・満足の意味です。

『それ以上を求めないとき』に使われる言葉で、オーディションの審査の際や提出物の確認が完了したときなどに一方的に終了を告げるニュアンスがあります。

セールスや勧誘など、きっぱりと断りたいときにも使われるでしょう。

許可や確認を求める相手に対してYESまたはNOで言い切る表現で、事務的で愛想がない印象を与えてしまうかもしれません。

こんなときの言い方は?

ビジネスシーンでは正しい敬語表現が求められます。相手に失礼にならないように、例文を参考にしながら使い方を覚えましょう。

相手に差し支えないかを聞きたいとき

差し支えないでしょうか?は「よろしいでしょうか?」や「問題ありませんでしょうか?」とニュアンス的には同じです。 

自分が進めている企画や案件について問題がないかを相手に確認をする場合は、聞きたいことを明確にしましょう。

  • 商品の規格を~のように変更したいと思いますが、差し支えないでしょうか?
  • 以上が○○計画の概要です。日程に差し支えないでしょうか?

また、上司や目上の人に許可を得る際は「よいですよね」と同意を求めるよりも「大丈夫でしょうか?」と丁寧に伺う姿勢を見せましょう。

  • 私用のためお休みをいただきたいのですが、差し支えないでしょうか?
  • 差し支えなければ、後ほどお時間いただいてもよろしいでしょうか?今朝の提案について、具体的な希望をお伺いできればと存じます。

差し支えるとき

相手の提案などに対し、何らかの問題や支障がある場合は『差し支えある』という言い回しを使って説明します。

  • 田中さんが辞めてしまっては、今後の業務に差し支えます。
  • 突然訪問してしまっては、相手の仕事に差し支えるだろう。

「問題がある」「厄介だ」「駄目だ」と露骨に表現するよりも、相手に配慮した印象になるでしょう。

法廷では裁判の期日を決める際、都合が悪ければ「差し支えです」と答えることがあります。

  • 〇月△日の13時はどうですか?―その時間は差し支えです。

類似表現の差し障るには『都合が悪い』『迷惑をかける』という意味があります。

差し障るのほうが支障の程度が大きく、会社や組織を対象に用いられる傾向があります。

  • 差し障りがなければ、○○日の納品を目指して進めましょう。

クッション言葉にもなる

ビジネスや仕事を円滑に進めるうえで欠かせないのが『クッション言葉』です。

ひと言加えるだけで、言葉全体が相手への配慮に満ちたものになるでしょう。

差し支えなければを使う場面とは

会話の中でよく用いられるのが『差し支えなければ』とワンクッションおいてから本題に入る方法です。

聞くことで相手に不都合になるおそれがあるとき「あなたの都合が悪くなければ……」とひと言添えます。

  • 差し支えなければ、解約の理由をご記入いただけますか?
  • ご提案くださった企画書について、差し支えなければ、ご教示願えませんでしょうか?
  • 私で差し支えなければ、ご説明いたします。

相手の事情を慮ったうえで自分の希望や要望を伝えるため、ストレートに内容を伝えるよりも相手も受け入れやすくなるでしょう。

差し支えない範囲でをアンケート用紙などに

不特定多数の人にアンケートをお願いする場合、設問に「あなたの○○を教えてください」「以下に回答ください」とストレートに書かれていると、ぶしつけな印象を持たれてしまいます。

 回答しづらい設問はアンケートのできるだけ最後に置き「差し支えない範囲で……」とひと言添えるのが理想です。

  • 差し支えなければ、子どもの頃になりたかった職業もお聞かせください。
  • 差し支えない範囲で、退会の理由をご記入いただけませんでしょうか?

「もしも大丈夫なら……」とはじめに付けることで、答えに値するような動機がなかったり答えたくない事情があったりする人はストレスなく書かない選択肢を取れるでしょう。

『お』をつけるときは注意

丁寧の接頭語である『お』を付けると、相手への敬意を表すことが可能です。『お差し支え』は『お差し支えなければ』というクッション言葉で多く使われます。

ただ、場合によっては「お差し支えなければ、○○さんのお考えをお聞かせいただけませんでしょうか?」のように『お』が連続してしまい、スマートさに欠けるのも事実です。

それぞれの単語に敬語表現を付け足す意味で『お』が付くことは、間違いではありません。付けなくても失礼にはあたらないところは極力省き、接頭語が重ならないようにするとよいでしょう。

ほかのクッション言葉に言い換えることも可能

お名前・お食事・お話・お手紙など、接頭語の『お』が重なってしまう場合は『お差し支えなければ』を、ほかのクッション言葉に換えてみましょう。 

微妙なニュアンスは異なるものの『失礼ですが』『お手数ですが』『恐れ入りますが』などに言い換えられます。

  • 恐れ入りますが、お名前とご住所を教えていただけますか?
  • もしご迷惑でなければ、お食事を一緒にいかがですか?

『可能であれば』『希望としては』も類似表現ですが、相手の能力を低く見ているニュアンスが意図せずとも滲(にじ)んでしまう言葉です。

  • 可能であれば、明後日までに資料を確認のうえ、ご押印をお願いいたします。
  • 希望としては、今月中を目途に概算を出していただければと存じます。

相手の立場によっては失礼にあたります。上司や目上の人に対しては、差し支えなければが無難でしょう。

まとめ

差し支えないは、同僚にも目上の人にも使える便利な表現です。

クッション言葉として使えば、相手の事情を考慮したやさしさのある言い回しになるでしょう。 

アンケートの依頼や休暇の取得、相手に教えを乞う場合など、さまざまなシーンで使えるため例文ごと覚えておくのがおすすめです。

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