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「各々」と「それぞれ」の違いは?意味や使い方、類語も紹介

2020/02/26

『各々』という言葉はビジネスシーンで多く用いられますが『かくかく』と読み間違え、赤っ恥をかいてしまう人もいます。各位や各自など、意味が似た言葉がたくさんあるため、場面や相手によって使い分けましょう。

各々の意味と読み方

ビジネス文書や挨拶文などで、各々という表現が使われることがあります。よく目にするものの、読み方すらわからないという人もいるのではないでしょうか?

正しい読み方や意味を知れば、ビジネスシーンでも使える気の利いた言葉です。

ひとりひとり、ひとつひとつを指す言葉

各々は『(複数の中の)個人個人』『ひとりひとり』という意味です。複数の人がいるのが前提で『それぞれ』や『めいめい』などの言葉に言い換えられます。

会社や学校などで大勢に呼びかけるときはもちろん、夫婦や兄弟などの少人数に対しても使える言葉です。

少し堅苦しい表現のため、日常会話で出てくる機会は少ないでしょう。

▼使い方の例

・我が社では、社員各々にあったキャリアプランを立てている。

・うちでは、夫婦各々が好きなことをして過ごしている。

・生徒の描いた作品は各々が優れている

プライベートよりも、ビジネスシーンや挨拶文、会社の概要文で多く使われる傾向があります。

かくかくとは読まない

各々はかくかくと間違えがちですが、正しくは『おのおの』と読みます。

自分自身を意味する『己(おのれ)』を二つ重ね『己己(おのおの)』と読む表記もありますが、各々と意味は同じです。 各々(各各)のように、同じ漢字を重ねることを『畳語(じょうご)』と言います。

漢字を繰り返すことで意味を強調するほか、動作が反復・継続しているさまや複数性を表す言葉です。 おのれの意味の漢字を重ねると、自分自身を強調したり複数人それぞれの存在を印象づけたりできます。

表記する際は、各各ではなく『々』を使うのが一般的でしょう。同じ言葉を重ねる際に使われる『踊り字』です。 なお、かくかくしかじかという表現は各々ではなく『斯々然々(斯斯然然)』という漢字が当てられます。

各々の使い方例

各々は、どのようなシチュエーションで用いられるのでしょうか?よく使われる場面と使い方の例を確認しましょう。

社員やメンバーそれぞれに向けて

各々は、学校や会社、組織団体など『複数の人が集まる場所』で用いられることが多い言葉です。

社員やメンバーに向けて話をする際や注意を促す際に使われます。

▼使い方の例

・明日は〇〇について話し合います。まずは各々でプランを練ってきてください。

・年金をあてにせず、老後の資産形成は各々で準備しておかなければならない。

・大きな災害が起こった際は、ほかの人を待たずに各々で安全な場所に避難しましょう。

・我が社の社員は、各々がすばらしい才能と創造性を持っている。

多くの人に呼びかけるとき

不特定多数の人々に呼びかけるときにも各々が用いられます。この場合、各々は『皆さん』などに言い換えられるでしょう。

▼使い方の例

・各々、資料の準備をお願い致します。

・これ聞き給へ、各々、この子は母もなき者にてあるぞとよ。(「平家物語」副将被斬)

呼びかけの各々は、古語や時代劇、古典小説などでもよく登場します。ただ、現代は各々よりも『皆様』などが使われることが多いようです。

敬語表現は各々方

目上の方やお客様に対して、各々と呼びかけるのは失礼だと思う人もいるでしょう。

各々の敬語表現は『方』を付けた『各々方(おのおのがた)』で、皆様と同じ意味になります。

▼使い方の例

・なんと各々方、この敵の仕打ちはまことに卑怯には相違ないが…(林不忘「平馬と鶯」より)

・敵はまだ近くにいる、各々方、ご油断なさるな。

江戸時代などに武士が好んで用いた表現で、現代ではほとんど使われません。あっても演劇や時代小説の中だけでしょう。 複数の人に呼びかけるときやビジネスにおいては、皆様や各位など、別の表現を用いることが多くなっています。

組織やモノを指すとき

各々という言葉は、組織やモノなど『人間以外』を指すときも使えるのが特徴です。

▼使い方の例

・店舗のくわしい概要については、各々の紹介ページを参考にしてください。

・各々すばらしい作品だが、彼の描いた絵は秀逸だ。

・このシリーズは形はすべて同じですが、色が各々違っています。

・本日は、地域の企業が各々抱える問題について情報交換を行います。

組織やモノが複数あるのが前提で『(複数における)ひとつひとつ』『それぞれ』という意味になります。

似ている言葉との使い分け

各々には意味や使い方が似た『類語』がたくさんあります。微妙なニュアンスの違いを知り、場面に合わせた使い分けを行いましょう。

各人、各自は人に対してのみ使える

『各人(かくじん)』や『各自(かくじ)』も各々と同じそれぞれという意味を持つ言葉です。

各々との違いは『モノや組織に対しては使えない』点でしょう。 各人は、人という字が示す通り『ひとりひとり』という意味です。組織やグループにかかわらずあらゆる場面で使えます。

各自は、各人と同様に人に対してのみ用いられる言葉ですが、どちらかというと『集団におけるそれぞれのメンバー』というニュアンスが含まれています。

▼使い方の例

・弊社では、社員各人の能力や個性に応じて部署決めを行っている。

・老若男女、各人に最適なサービスを提供できるのが我が社の強みだ。

・研究のテーマは各自が自由に決めてよい。

・プログラムについては配布のパンフレットで各自ご確認ください。

それぞれはやや大まかな印象

各々は、それぞれという意味にもとれますが、正確に言えば『それぞれは各々よりもやや大まかな印象』です。

各々は人と物の両方に使える表現ですが、ジャンルなどの大枠の事柄に関してはそれぞれのほうが適しているときもあります。

▼使い方の例

・スポーツと医学のそれぞれに長けた専門家が集合した

それぞれは各々よりも口語的で、会話の中で使いやすい傾向があります。読み手や聞き手の中には「具体性が欠ける」と感じる人もいるため、状況や相手によって使い分けるのが望ましいでしょう。

▼使い方の例

・その件につきましては、各々でご準備いただけると幸いです。

ビジネスやお知らせなどの丁寧できちんとした表現が求められるシーンでは、それぞれよりも各々のほうが無難です。

ビジネスで使える敬語表現

敬語表現を使うと言葉に重みが出て、より丁寧な印象が伝わります。ビジネスや冠婚葬祭などのフォーマルなシーンでは、ほかにどのような表現が使われるのでしょうか?

各位

『各位(かくい)』は、大勢の中のひとりひとりに対して敬意を表す敬語表現の一つです。『皆様』と同じ意味で、挨拶文やお知らせなどかしこまった場面で使われることが多いでしょう。

お客様や取引先にお知らせの文書を送る際『取引先の皆様』よりも『取引先各位』や『関係者各位』と書いたほうが丁寧で改まった印象になります。

▼使い方の例

・担当者各位 いつもお世話になっています。

・社員各位 社員研修のお知らせ

・お客様各位のご理解とご協力のほど宜しくお願い申し上げます。

『〇〇様各位』は『様』と『各位』が二重敬語になるため本来はNGです。 ただ、実際には『お客各位』と表現するのはつながりに違和感があるため『お客様各位』『ご家族様各位』と表現するのが一般的になっています。

方々、皆様

『方々(かたがた)』は複数の人への敬意表現です。単体ではなく「多くの方々」や「周囲の方々」といったふうに修飾する語句を伴うのが特徴でしょう。

一方の皆様は、修飾する語句を伴わずに単体でも使えます。方々はやや堅い表現ですが、書面だけでなく口語でもよく用いられる言葉です。

▼使い方の例

・在職中は、〇〇部の方々には大変お世話になりました。

・皆様におかれましてはますますご健勝のこととお慶び申し上げます。

・受賞できたのも、ひとえに皆様方のお力添えのおかげと感謝しております。

呼びかけのニュアンスが含まれており、アナウンスでは「〇〇からお越しの方々」とは言わず「〇〇からお越しの皆様」と表現するのが通常でしょう。

『方』を付けて『皆様方』にするとさらに丁寧な表現になります。

複数の人に贈り物をするときに使える言葉

取引先の事務所や友人家族など、同一住所にいる『複数の人』に贈り物をする際、宛名として適当な表現はいくつかあります。 使用する機会も多い表現のため、意味の違いも含めて覚えておきましょう。

御一同様

スタッフ一同や社員一同など『一同』には『そこに居合わせた全員』という意味があります。

一同の敬称は『御一同様』で、贈り先(同一住所)の人数が2名以上の場合に用いる表現です。 『〇〇の皆様へ』と書くよりも改まった言い方で、ビジネスシーンではよく使われます。

会社宛てに送るときは『〇〇御中』部署宛てに送るときは『〇〇部一同様』と表記しましょう。 年賀状や贈り物の宛先を家族全員にする場合は、『〇〇家御一同様』です。

ご家族様

贈り先の相手の家庭が夫婦2人であれば、宛名にはそれぞれの名前を書きます。夫婦と子どもを合わせて4人以上の場合は、それぞれの名前ではなく『ご家族様』と表記しましょう。

結婚式の招待状の場合、夫婦と子ども1人の計3人家族でも大人はそれぞれの名前・子どもはご家族様と記す場合もあります。

宛名は代表者の名前を先に中央へ書いてから、縦書きでは名前の『左横』横書きでは名前の『真下』にご家族様または皆様と書きましょう。

まとまった団体を指すときに使える言葉

一同は、その場に居合わせる人々を指します。旅行やスポーツ選手など『一緒に行動をする人々』を指すときには、御一行様や御一統様などの敬称を使うとよいでしょう。

御一行様

『御一行様(ごいっこうさま)』は、貸し切りバスのステッカーや旅館の黒板などでよく見かける表記です。『一行』は『同じ行動をする人』や『一緒に行く人々』を意味します。

▼使い方の例

・〇〇様御一行は、何名様でいらっしゃいますか?

・五輪の選手団一行は、北京行の飛行機に搭乗しました。

敬語を作る際に使われる接頭辞『御』と接尾辞『様』が付くと、集団を敬う意味合いを付加できるでしょう。

御一統様

『御一統様(ごいっとうさま)』の『一統』には『一つにまとまった全体』や『一同』『総体』という意味があります。

▼使い方の例

・御尊家御一統様の御繁栄をお祈り申し上げます。

・新年を迎え、貴家御一統様の益々のご健勝とご多幸を祈念致します。

日常で使うシーンはそれほど多くはありませんが、意味や使い方を覚えておくとよいでしょう。香典返しの際は、お礼状のはじめの一文として御一統様を入れた定型文が使われます。

▼使い方の例

・御尊家御一同様には愈々御清祥のこととお慶び申し上げます

まとめ

各々のほかにも各自や各人など、ひとりひとりを意味する言葉はたくさんあります。

それぞれに言い換えて簡単に表現することも可能ですが、場面や相手に合う言葉を使うと文書や挨拶の重みが増すでしょう。

複数の人の敬称もひと通り覚えておくのがおすすめです。

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