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「なるべく早く」は敬語として使える?正しい意味とシーン別使い方をレクチャー

2020/02/26

『なるべく』は相手に頼みごとをするときに用いる言葉ですが、目上の人に対しては失礼にあたる場合があります。『できるだけ』とも微妙にニュアンスが異なるため、場面によって使い分けましょう。目上の相手に早急な対応を求める際の言い回しも紹介します。

なるべくの意味と使い方

急ぎの用事があるとき、相手に対して「なるべく早く……」という言い回しをよく使うのではないでしょうか?なるべくは、さまざまな場面で活用できる使い勝手のよい言葉です。

急ぐとき

なるべくは、動詞『成る』の終止形に可能の助動詞『べし』の連体形がついた副詞です。単独では『可能な限り』『なるだけ』という意味があり、後に続く言葉を強調します。

日常的に頻繁に用いられるのが『なるべく早く』という言い方です。急ぐときや締め切りが迫っているときなどに使われ『可能な限り早く』という言葉に言い換えられます。

仕事で「なるべく早く提出するように」と言われた際は、至急案件として扱うのが正解でしょう。ビジネスシーンにおいては同僚や部下に対して使い、目上の人には使わないのがマナーです。

頼みごとをしたいとき

なるべくは、頼みごとをしたいときに用いられます。「あなたの努力が及ぶ範囲で〇〇してほしい」の意味です。

▼使い方の例

・赤ちゃんがいるので、なるべく小さな声で話してください。

・パソコンの修理は、なるべく土日に来ていただけませんか?

・資料はなるべく金曜日までに完成させましょう。

この言い回しには『無理のない程度で』といったニュアンスが含まれています。相手の無理をわかったうえでの懇願や強い命令には用いません。

曖昧にしたいとき

なるべくは、人によって何通りもの解釈になる『曖昧な言い回し』でもあります。仕事上でなるべくを多用すると、相手との行き違いや誤解が生まれる場合があるため注意しましょう。

▼使い方の例

・その件については、なるべく早く対応します。

言われた場合、具体的にいつになるかは決まっていません。両者に認識の違いがあると「すぐにやってくれると思っていたのに、全然音沙汰がない……」と、困ってしまうでしょう。

逆に、以下のような場合は『相手に判断をゆだねる』という意味で、なるべくを使ったほうが自然です。

▼使い方の例

・雨が降りそうだから、なるべく急いで帰りなさい。

・痩せたいのなら、なるべく運動をしたほうがよい。

・荷物はなるべくコンパクトにすると、移動がラクです。

・足元が滑りやすいため、なるべく気をつけてください。

類語 できるだけとの違い

なるべくの類語には『できるだけ』という言葉があります。

なるべくとできるだけを何となく使い分けている人がほとんどですが、具体的にどこが違うのかを考えたことはあるでしょうか? 微妙なニュアンスの差を理解しましょう。

できるだけは力が及ぶ限りという意味

『できるだけ』は、可能を表す『できる』と限界・範囲を示す『だけ』からなる慣用句です。

『できる範囲のことはすべて』や『できる限界まで』という意味があり、より主体的で積極的なニュアンスが含まれます。 相手に「できるだけ値段を下げて欲しい」と言われたら、これ以上は無理というギリギリの程度まで最大限に努力する必要があるでしょう。

ビジネスシーンでもできるだけという言い回しはよく登場しますが、やや強い表現になるため、使う相手を選ぶ必要があります。

▼使い方の例

・できるだけ、今月中に仕上げてほしい案件です。

なるべくのほうがやや頼りない

なるべく早くもできるだけ早くも至急案件であることに変わりはありませんが「できるだけ……」のほうが、やや差し迫った印象を与えます。

▼使い方の例

・できるだけ、今日中に仕上げてほしいのですが

・なるべく、今日中に仕上げてほしいのですが

なるべくのほうは、人によっては「できなかったら今日中でなくても構わない」と解釈する可能性もゼロではありません。

なるべくの『なる』は『人為的ではない自然のなりゆきで物事が変化し、別の状態が現れる状態』を指します。

そのため、最大限に努力してというよりも『心情・状況・成り行きに応じて可能な限り』という意味合いが強いでしょう。できるだけよりもゆるやかで、やや頼りないニュアンスです。

ビジネスでは期限を明確にしよう

相手に頼みごとをする際は、なるべくという物言いがやわらかさを与えるメリットがある一方で、言われた相手は期限や程度がわかりにくい部分があるかもしれません。

判断が相手に委ねられるため「思っていた結果と違っていた」というすれ違いも生まれます。 期限がある場合やビジネスシーンでは、なるべくやできるだけを多用せず、具体的な日時や程度を提示したほうが混乱や行き違いが防げるでしょう。

▼使い方の例

・なるべく早く提出してほしい→今日の17時まで提出してほしい

・なるべく早く返事をします→本日中に返事をします

・なるべく小さくカットする→1cm角にカットする

年齢や経験を問わず、自分と相手と同じ理解が叶います。

なるべく早くは敬語として使える?

目上の人や上司に要望があるとき『なるべく早く~していただけませんか?』という表現は使えるのでしょうか?

『なるはやでお願いします』という言い回しもありますが、時と場合によっては失礼にあたります。

目上の人に使う言葉としては適さない

仕事で、目上の相手に早急な対応を求める場合、なるべく早くは使わないのがマナーです。目上の人や顧客全般に使う言葉としては適切ではなく、言われた側はあまりよい気分にはならないでしょう。

▼使い方の例

・○○部長、なるべく早く書類へ目を通していただけますか?

・すぐにご予約が埋まってしまいます。なるべく早く、希望日をお知らせください。

意図していないとはいえ「まだやってくれていないけれど、早くやってほしい」のようなニュアンスが含まれてしまいます。

なるべく早くには『尊敬語や謙譲語などの敬語表現はない』ため、別の言葉に置き換えて伝えるのがベターです。

「〇月△日が期日のため、ご対応をお願いします」と期日を付け加えるか「お忙しいところ恐縮ですが……」とクッション言葉を置いてから用件を述べるのがよいでしょう。

なるはやは特に使い方に注意が必要

『なるはや』は『なるべく早く』の略語で、ビジネスシーンでよく用いられます。 「なるはやでお願い」「なるはやで仕上げます!」といった具合に「なるべく早く仕上げて」という言い方を、より簡単にスピーディーに伝える方法といえます。

相手の心情や状況を配慮しながら要望を伝える手段として、積極的に使う人もいるでしょう。一方で「早くやれ」と直接的に伝えることが、きつい印象を与えそうと感じる人もいます。 基本的には気心の知れた仲間内や同僚同士で使う言い回しで、目上の人に対しては失礼にあたります。

「なるはやでお願いしてもよろしいでしょうか?」とやわらかく丁寧に言ったつもりでも、相手を不快にさせる恐れがあるため気をつける必要があるでしょう。

早急や至急は?

急ぎの対応を求める言い方に『早急(そうきゅう)(さっきゅう)』や『至急(しきゅう)』があります。 どちらも極めて差し迫っているさまです。

『早急にご対応いただけませんでしょうか』や『至急ご連絡ください』など、ビジネスでも頻繁に用いられます。

ただし、相手を急きたてる表現のため、目上の相手に対してはあまりふさわしくありません。あくまでも目下の相手や同僚同士で使う言い方と考えましょう。

目上の人にはより丁寧な言葉で

クッション言葉を挟んだり期日を明確にしたりと、なるべく早くや早急を使わない表現方法を紹介しました。

反対に、より直接的にお願いしたいときはどう表現すればよいのでしょうか?

可能な限り早く

目上の人に早めの対応をお願いする際は、なるべくやできるだけではなく『可能な限り~』を使うのがベターでしょう。
意味的にはなるべくと同義ですが、よりきちんとした印象を与えるためです。

▼使い方の例

・お忙しいところ恐縮ですが、可能な限り早くご連絡をいただけますか?

・プレゼンの資料を可能な限り早くご確認いただけると幸いに存じます。

『お忙しい中恐縮ですが…』や『~していただけたら幸いに存じます』など、相手の状況を考慮した言葉を付け加えることで、より丁寧になるでしょう。

ビジネスでは目上の人を立てる敬語や言い回しを使うと、コミュニケーションやメールのやりとりが円滑になります。

可及的速やかに

『可及的速やかに(かきゅうてきすみやかに)』の『可及』には『できる限り』や『及ぶかぎり』という意味があります。

▼使い方の例

・可及的速やかに連絡をお願いします。

と言われれば『ほかの用事を差し置いても早急に対応すべきもの』というニュアンスになります。 可及的速やかには、官公庁・法律関係などで多く用いられる、やや堅苦しい表現の一つで、日常的にはあまり用いられません。

何かを依頼された際に自分から「可及的速やかに対応いたします」といえば、物事に対する意欲を示せるでしょう。

一方で、相手への依頼に使うと、相手を急かすうえに威圧的な印象さえ与えます。

▼使い方の例

・可及的速やかに対応いただけませんでしょうか?

といった表現は一見丁寧なように見えますが、上司や目上の人に使うのはNGと覚えておきましょう。

まとめ

普段何気なく使っている言葉でも、シチュエーションや相手によってはふさわしくない場合があります。

特に、目上の人に急ぎの対応をお願いするときは、できるだけ相手を立てる丁寧な敬語を使うようにしましょう。 できる限りやなるべくなどの表現は、人によって受け取り方の程度が異なります。

業務上で相手に依頼・指示する際は、具体的な期日や数字を示すことを心がけたいものです。

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